【障害者歯科まなびの整理 1】 脊髄損傷と呼吸
受容器による化学的な呼吸調節
延髄に存在する中枢性化学受容器がCO2の増加を感知し、頸動脈小体(舌咽神経)・大動脈小体(迷走神経)にある末梢性化学受容器がO2低下を感知し延髄へ情報を送る.
自律神経による調節
交感神経が気管平滑筋を弛緩させ、副交感神経が気管平滑筋を収縮させる.気管支喘息発作が夜間に多いのも、この副交感神経が優位となるためである.
呼吸中枢による調節
延髄の呼吸中枢からの制御による吸息と呼息のコントロールを行う.呼吸のリズムについては橋に中枢が存在する.頚髄C3-C5から横隔神経が横隔膜の収縮と弛緩を制御している.頚髄損傷では吸息困難となる.胸髄Th1-12から肋間神経が肋間筋の収縮と弛緩を制御している.胸髄損傷では強い吸息・呼息が困難となる.
肺には筋肉がないため、自律的な呼吸は不可.吸気は横隔膜と外肋間筋の収縮によって生じる.横隔膜が収縮(下がる)外肋間筋の収縮によって胸郭を前後に広がり肺が膨らむことで吸息が生じる.一方、呼気は横隔膜と外肋間筋の弛緩、内肋間筋の収縮および肺の弾力性収縮によって胸郭が狭まることで呼息が生じる.