【障害者歯科まなびの整理 2】自閉スペクトラム症概要

DSM-5での改訂

従来の広汎性発達障害が自閉スペクトラム症へ変更された.原因にかかわらず、行動の特徴により包括された.旧来の小児自閉症、Kanner型自閉症、高機能自閉症、非定型自閉症、広汎性発達障害、Asperger障害等を包括している.

定義

社会的コミュニケーション及び相互関係における持続的障害、限定された反復する様式の行動や興味、早期発達の段階で症状が必ず発現する、症状は社会や職業、重要な機能に重大な障害を引き起こす、知的能力障害の併存では社会的コミュニケーションが全般的な発達と比べ下回っている、といった問題が認められる.

脳科学的および行動における特徴

自閉スペクトラム症では人と協調的に行動すること、顔の表情から感情を読み取ることが苦手とされている.さらに、ストレスの過負荷がかかるとパニックを起こし自傷行為におよぶこともある.

口腔・食に関する特徴

知的能力障害が重度であれば清掃不良が認められ、齲蝕や歯肉炎・歯周炎の発症を助長する.歯の欠損後は義歯などの理解と着脱等が難しい部分もある.自傷行為による外傷や歯牙抜去もある.

歯科治療での行動調整

視覚が優位であることから、視覚構造化による対応が望ましい.具体的には絵カードや写真カードによるアプローチがよい.拒否行動がきつい場合には薬物的行動調整も視野に入れて加療を行う.健康や清潔といった概念の理解は困難であるため,習慣化を行い組み入れることが重要である.