【食べる機能を知る 摂食嚥下の5期モデル Part 1 概要】

2021年5月10日

ご家族や利用者さんも含めて,医療・介護・福祉の連携の中で「食べること」に関する連携が重要となってきています.しかし連携するにあたりお互い違う土俵で話していたのでは理解しあうことは困難です(今回の話だとモデルの違い).「食べる」「飲み込む」といった話をするときに,何のモデルでどのことを説明しているのかといった部分で今回のブログは参考になると思います.

口から食べて飲み込み胃へ送る流れを「摂食嚥下」といいます.この流れは様々なモデルで説明されています.どのようなモデルがあるか少し見てみましょう.医療・介護・福祉にかかわる機会のない非専門職の方は5期モデルのみ読んでみてください.医療・介護・福祉にかかわる方は最後まで(せめてプロセスモデルまでは)読んでいただけると現場で目の前の方に何が起きているか大枠でとらえていただけると思います.

5期モデル

「食べる」+「飲み込む」の流れを,「先行期」「準備期」「口腔期」「咽頭期」「食道期」の5段階に分割することで分かりやすく説明したモデルです.各期は次のように説明されています.5期モデルは次の記事から順に詳しく説明していきます.

6期モデル(藤島6期モデル)

実際の現場で使われやす言葉を用いて,「食べる」「飲み込む」ながれを説明したモデルです.先行期が視認と捕食に分解し,準備期を咀嚼としています.

プロセスモデル

咀嚼(モグモグ噛む)嚥下(ゴクンと飲み込む)の生理的な機構を説明したモデルです.このモデルの一番特徴的な部分は,咀嚼された食べ物は一気にのど(咽頭)にお口こまれるのではなく,咀嚼中も順に送り込まれ喉で食塊形成されるとした点だと思います.

ここまで,食べることに関して説明しやすいモデル(5期モデル),現場での用語に配慮し説明しやすくしたモデル(6期モデル),実際の生の摂食嚥下を表した生理的なモデル(プロセスモデル)について扱いました.医師,歯科医師,言語聴覚士などの専門職から説明を受けたときに何をいっているのか少しでも参考になれば嬉しく思います. ここからは,液体の命令嚥下を表現したモデル(4期モデル),嚥下について説明したモデル(3期モデル),孤発的咽頭嚥下のモデル(2期モデル)について説明します.少し摂食嚥下のモデルについて深く知りたい方は読んでみてください.

4期モデル

固形物ではなく液体を「命令嚥下」(指示に合わせて飲み込む)したときの食塊の動きからでてきた概念です.飲むことに関しては非常に説明しやすいモデルです.

3期モデル

200年以上前に提唱されたモデルで,嚥下のみを純粋に運動学的に表現したモデルです.

2期モデル

咽頭期は5期モデルや4期モデルにおいては,口腔期や口腔送り込み期に続いて起こる.しかしながら,飲食をしている時,不意に舌による送り込みなしに咽頭に何かが入ってくることがある.これに対応するために防御的な孤発的咽頭嚥下(Isolated Pharyngeal Swallow)が備わっておりこれを表現したのがこのモデルです.

最後までお読みいただきありがとうございます.摂食嚥下を理解するためのモデル様々なものがありましたね.皆さんと専門職の方がお話している時に,いったい何を指しているのか少しでも理解に繋がれば嬉しいです.

次回からは5期モデルについて詳しく説明していく予定です.